知的生命体は永遠か

L. M. クラウス
G. D. スタークマン
200004

日経サイエンス 2000年4月号

10ページ
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世界のさまざまな宗教が「永遠の生命」を信仰の核においている。しかし,ここで論じられているのは,現実の世界,つまり宇宙における「永遠の生命」だ。
 物理学者フリーマン・ダイソンは1979年に,永遠の生命についての論文を発表し,永遠の生命は可能だとした。この論文をきっかけに,物理学者や天体物理学者の間で議論が巻き起こった。クラウスらは最新の観測結果にもとづいて再検討を行い,10の100乗という時間を想定すると,生命は滅びる運命にあると結論づけた。
 その原因は「宇宙膨張」にある。宇宙はサイズが大きくなるにつれて,エネルギー源の平均密度は減少していき,宇宙の半径が2倍になれば,原子密度は1/8に減る。光の波の場合は減少はいっそう顕著で,宇宙膨張が光の波長を引き伸ばすにつれてエネルギーが小さくなるから,エネルギー密度は1/16になってしまう。こうしてエネルギー密度が希薄になり,資源を入手するのにますます時間がかかるようになる。物質を集めようとしても,現在の観測結果や物理学の法則に従う限り,やがては不可能になるという。(編集部)