過酷な宇宙で生き残れる場所は

G. ゴンザレス
D. ブラウンリー
P. D. ワード
200203

日経サイエンス 2002年3月号

10ページ
( 2.2MB )
コンテンツ価格: 700

SFの世界では,星間宇宙を旅する人が銀河系のエキゾチックな場所を訪れ,興味深いエイリアンと出会う。そこには素敵な地名が付けられ,誰かが文明をもたらす。それは銀河系の中心や球状星団だったり,星が形成されつつある場所や連星系,赤色矮星だったりする。だが,科学者はいつも,SF作家のこうした独創的な発想に水を差す発見をしてしまう。SF作家が知的生命体のすみかとして月や火星,金星,木星,太陽の中などさまざまに思い巡らすのはとても面白いが,運河を作る火星人や太陽の中にある涼しいオアシスなどはいまや時代遅れな単なる空想に過ぎなくなってしまった。
 SF作家が知的生命体を求めてかなり遠くまでを考えに入れているのに対し,科学者は銀河系のあちこちに知的生命体がいるという見方に懐疑的だ。太陽系のほぼすべての場所が多細胞生物にとって非常に住みにくい場所であるように,私たちの銀河系でも同じことがいえる。
 恒星が惑星を伴う場合,天文学者は恒星の周囲の生命居住に最適な領域を「惑星系のハビタブルゾーン(CHZ)と呼ぶ。ハビタブルゾーンの定義は時代とともに変化してきたが,一般に CHZ は少なくとも数十億年間,地球あるいは地球のような惑星の表面に液体の水が存在できるような領域のことを指している。このような領域はリング状をしている。著者らは1999年,惑星系のCHZに相当する概念を銀河系にも拡張する提案をし,「銀河系のハビタブルゾーン(GHZ)」と名付けた。こうした広い意味での生命の存在可能性を,科学者は最近検討するようになってきた。