グリーン消費で熱帯林は救えるか

J. ハードナー
R. ライス
200208

日経サイエンス 2002年8月号

9ページ
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この10年ほど,熱帯林の保護活動の一環として,環境に配慮した方法で栽培・収穫された木材や農産物の購入が奨励されてきた。現在,いわゆる持続可能な森林経営や農地開発のための多くの開発プロジェクトが世界各地で進んでいる。
 欧米では,一定の基準を満たして生産されたという認定を受けた木材やコーヒーなどの農産物を選んで購入することで人々は保護運動に参加している。このような「グリーン製品」として最も知られているのが,森林を伐採した日当たりのよい農地ではなく,森の日陰で栽培されるシェイドグロウン(日陰栽培)コーヒーだ。
 確かにグリーン購入の推進運動は支援すべきものだし,称賛にも値する。だが世界経済全体でみれば,こうした消費者運動と持続可能な農業だけでは,森林伐採によって危機に瀕している動植物を保護するには不十分だ。
 環境保全コンセッション(利用権)と名づけた思い切った方法こそ,これまで製品だけに頼ってきたグリーン市場を拡大する効率的で有望な手段だと私たちは考えている。グリーン製品よりも幅広く,環境保全そのものにサービスとして対価を支払うグリーンサービスという概念を導入すれば,サービスの購入が生物多様性の保全に直接つながるようになる。
 環境保全コンセッションが実現可能だと私たちが考える根拠は経済的な利点だ。発展途上国には,1ヘクタールにつき年間1ドル以下でリースされている国有林がたくさんある。これぐらいの料金なら,生物多様性の保全に資金を提供する環境保護組織も落札でき,地元の住民に賃金を支払って生態系の管理を任せられる。
 環境保全コンセッションは特定の企業に天然資源の利用を許可する伐採契約のような商取引と,法的にも経済的にもなんら変わらない。実際,途上国がこれによって得られる収入は,国際市場で木材や農産物を売却して得られる収入に匹敵し,しかもより安定しているのだ。