原子炉解体
米国からの報告

M. L. ウォールド
200306

日経サイエンス 2003年6月号

13ページ
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原子力発電所は長年の運転によって劣化するので,いずれは解体処分する必要がある。放射能を帯びた設備の処理は,建設当初には十分に考えられていなかった厄介な作業だ。一足先に米国で進む廃炉の実情をリポートする。
 米国でこれまでに運転されてきた商業発電用大型原発は123基あり,うち103基は現在も稼働中だ。しかし,老朽化に伴って廃炉(正式には廃止措置またはデコミッショニング)が現実の問題になってきた。
 最初期に建設されたメーンヤンキー原発はすでに廃止措置が決まった原子炉の1つで,解体が進みつつある。コンクリートや原子炉構造物など廃棄物の半分が放射能を帯びており,放射性レベルに応じて国内の処分場に搬出されている。使用済み燃料などの高レベル廃棄物は厳重に密閉して敷地内に一時保存される。ネバダ州に最終処分場を建設する計画があるものの,これが完成するまで,少なくとも20年間の一時保存が必要になる。
 米国では原発跡地をどのような目的にも使える「緑野」に戻すことが原則になっている。残留放射能について厳しい基準があり,メーン州など一部の州では連邦政府の基準よりも厳しい規制を打ち出している。しかし,「放射能をどこまで除去すればクリーンだといえるのか」は科学的に不確実で,技術的にも難しい。そこがとりわけ重要なポイントといえるだろう。