ツングースカ大火球
100年の謎

L. ガスペリーニ(ボローニャ海洋研究所)
E. ボナッティ(ローマ大学)
G. ロンゴ(ボローニャ大学)
200808

日経サイエンス 2008年8月号

7ページ
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コンテンツ価格: 600

 今からちょうど100年前,シベリア中央部のツングースカ上空で大爆発が起きた。2000km2に及ぶ森林の8000万本ほどの樹木が,ある地点から放射状に外側へとなぎ倒された。ロンドンでは真夜中にもかかわらず空が明るくなり,人工灯火なしに新聞を読めたそうだ。天体の空中爆発が原因と考えられているが,当時の政治情勢の影響もあり,詳細は謎に包まれたままだ。
 幸運なことに,このツングースカ事件はまったく人が住んでいない場所で起きた。同じような爆発が大都市上空で起きたなら,都市全体が破壊されるに等しい大惨事となるだろう。そのような不測の事態に備えるためにも,ツングースカ事件は是非とも解明されなければならない。
 爆心地から8km離れたところにあるチェコ湖がツングースカ事件でできた衝突クレーターではないかという調査結果を,著者たちのグループが発表した。湖底が衝突クレーターの形状に似ていることなどがその根拠だ。彼らはまた,湖底からさらに数十m下に,衝突した天体の破片の存在をうかがわせるデータを得ている。本当に天体の破片であれば,解明に向け大きな前進だ。
 著者たちは今年後半にも再びツングースカに赴き,“天体の破片”に届くようなボーリングを実施する準備をしている。事件からちょうど100周年の今年,謎は解明されるのだろうか?

再録:別冊日経サイエンス195「空からの脅威」