2020年に排出25%減
快適な暮らしでエコ実現

小宮山 宏(三菱総合研究所)
201001

日経サイエンス 2010年1月号

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 日本は2020年までに温暖化ガス排出を1990年比で25%削減する──。民主党の鳩山政権が世界に向けて表明した目標だ。その前の自民党麻生政権が掲げていた「2005年比で15%削減」(90年比にすると8%削減)より非常に高いハードルで,産業界からは危惧の念が寄せられている。
 エネルギー消費は2つに大別できる。1つは先に紹介したセメントや鉄鋼などの素材,自動車,家電製品などの製造,「ものづくり」のために使われるエネルギー。もう1つは家庭やオフィス,輸送など「日々のくらし」に費やされるエネルギーだ。日本における割合は「ものづくり」が45%,「日々のくらし」が 55%になる。「日々のくらし」の方が10%も大きいのだ。これまで日本は何をしてきたか。ざっくり言えば,エネルギー消費の45%を占める「ものづくり」の議論をしてきたことになる。日本は製造業の効率向上に大変な努力をした。しかし,それを成し遂げるベースとなる「日々のくらし」のエネルギー消費について,「ものづくり」ほど真剣に考え,効率向上に力を注いできたかというと疑問が残る。
 「日々のくらし」で,どのくらい温暖化ガス排出を削減できるのか,私自身で試してみた。自宅の断熱をよくし,給湯には電力会社が普及を進めている高効率ヒートポンプを導入,屋根には太陽電池を設置し,エアコンと冷蔵庫はエネルギー効率がよい最新式に買い替えた。自家用車はハイブリッド車に替えた。その結果,私自身の「日々のくらし」では80%の排出削減ができた。仮に全世帯が私にならって80%削減を実現したら,日本全体のエネルギー消費の削減率は55 ×0.8で44%だ。非常に大まかに言えば,この「44%」は1990年比でのエネルギー消費の削減余地,つまり“削りしろ”と解釈してよいだろう。