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話題ごとに「それが知りたいならば,ぜひこれを」と編集部がお薦めする記事をピックアップしました。
リンの代わりにヒ素を使う生物 | ( 2010-12-03 ) |
NASA(米航空宇宙局)が,宇宙生物学の分野で大きな発見があり,12月2日に会見をすると事前アナウンスして,「いよいよ,地球外生命の発見か?!」と話題になっていました。 残念ながら地球外生命ではなかったのですが,地球の生命としては相当な変わり者が見つかりました。私たち普通の生物にとっては猛毒となる「ヒ素」をDNAに取り込んだバクテリアです。地球上のこれまで知られる生物はすべてDNAに「リン」を使っていますが,今回見つかったバクテリアはリンの部分をヒ素に置き換えていました。成果はScience誌に発表されました。 このヒ素生物が見つかったのは,米カリフォルニア州のモノ湖。強アルカリ性の湖として有名です。 リンとヒ素は周期表を見れば分かるように,同じ第15族に属していて,化学的な性質がよく似ています(だからこそ,私たちの身体にヒ素が入ると,生理反応を混乱させる毒として働きます)。なので,リンが生体内で担っている役割をヒ素が肩代わりする生命体も「ありうる」だろうと一部の宇宙生物学者たちは考えてきました。 日経サイエンスの読者の中には,「あれ? なんか,聞いたことあるぞ」と思われる方がいることでしょう。そうです! 2008年3月号に掲載した「シャドーバイオスフィア 私たちとは別の生命」で詳しく紹介したお話です。この記事の著者であるポール・デイビスは,今回のヒ素生物の論文でも著書の1人として名を連ねています。 2008年3月号の記事では,ヒ素バクテリアが存在する可能性について書かれているだけですが,ついに見つけた!というのが,今回の発表でした。 地球外生命でなかったのはちょっと残念ですけれど,やっぱりワクワクしますね。 NASAのこのニュースのサイトはこちらから(英語) 今回は宇宙生物学の記事をピックアップします。 |
シャドー バイオスフィア 私たちとは別の生命 日経サイエンス 2008年3月号 / 022ページから | 赤,青,黒… 異星の植物は何色か 日経サイエンス 2008年7月号 / 064ページから |
地球外生命飛来説を検証する 日経サイエンス 2006年2月号 / 030ページから | 生命のゆりかご 宇宙の氷 日経サイエンス 2001年11月号 / 068ページから |