エイズに強い遺伝子の発見


199711

日経サイエンス 1997年11月号

10ページ
( 6.6MB )
コンテンツ価格: 306

世界中では3000万人がHIVに感染しており,この中には75万人の米国人と5000人の日本人が含まれる。
 薬物治療の発達で,たくさんの患者が救われた。薬の絶妙な組み合わせで,体内のHIVレベルを低下させ,免疫機能を回復させることができるようになった。
 これらの治療は人々によく知られるようになった。しかし,一般にはあまり知られておらず,研究者たちが不思議に思ってきた事実がある。これが,最近のエイズ研究分野で大きな話題になっている。HIVに感染する危険性が高いにもかかわらず感染を免れている人がいるという事実と,感染しているのにエイズへの進行が普通より遅い人がいるという事実だ。
 たとえば,HIVで汚染された血液製剤が使われていた時期があったため,1万2000人の血友病患者がHIVに感染した。しかし,汚染された血液製剤を投与された人の10〜25%は感染しなかった。そして約1%の人はHIVに感染はしているものの,15年かそれ以上,例外的に長い期間健康で,ほとんど何の症状もなく,十分免疫が機能している。
 最近,部分的または完全にHIV感染に対する耐性をもつ人は,幸運にも遺伝子,もう少し正確にいうと免疫機能に関係する遺伝子の特別な変異型をもつことによる,ということが明らかになった。この発見を,HIV感染の予防や制御に利用する研究が始まった。(本文より)

本記事は,誌面をスキャナーで読み込んで作っていますので,印刷した際文字の一部が荒くなることがございます。ご容赦ください。
2012/04/25