謎の隕石を追う 氷原に消えた大火球

W. W. ギブズ(Scientific American 編集部)
199902

日経サイエンス 1999年2月号

13ページ
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 その隕石は,1997年の12月9日未明,グリーンランド南西沿岸部を明るく照らす火の玉となって落ちてきた。綿密な研究の結果,隕石が異例の起源をもつらしいことが突き止められた。隕石は単に地球の外からやって来たというだけのものではなかった。太陽系の外に広がる星間空間から来たようなのだ。何百光年も遠くにある別の星の世界から,はるばる私たちのところに訪れた初めての使者である可能性があった。
 グリーンランドのヌークに住んでいるK. ハイルマンは,屋外に出していた彼のスノー・スクーターの夜間監視用にビデオカメラをセットしていた。そして偶然にも,そのビデオカメラが撮影した6時間テープの中に,3秒間にわたって大きな流れ星が映っていたのだ。その火球は午前5時15分に出現した。推定で,TNT火薬64トン分に匹敵する空中大爆発だった。このビデオ映像には目撃証言の100倍の値打ちがあった。ビデオカメラの機械の目は,何の感情もはさむことなく,この大流星が出現してから消えるまでを時間経過を追ってきちんととらえていたからだ。
 コペンハーゲンのチコ・ブラーエ・プラネタリウムでは,隕石を探し出すための遠征隊の準備を進めていた。しかし,ビデオ映像などをもとにした軌道解析から驚くべき結論が出るに及んで,この隕石捜索は世界の大きな注目を集めるようになった。捜索隊は25日間にわたって,米ロードアイランド州に匹敵する領域(面積約3100km2,東京都1つ半分の広さ)のグリーンランドの大氷原の上を延べ1000km以上ヘリコプターで飛び回り,ゴルフボールくらいの大きさの隕石の破片を捜し求めた。(本文から)

※こちらは誌面をスキャナーで読み込んで作っているため,印刷した際画面がやや粗くなりますが,何卒ご了承ください。