ミレニアム特集:2050年大予測
科学はどこまで進むのか
大統一理論は完成するか

S. ワインバーグ
200001

日経サイエンス 2000年1月号

11ページ
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今日,私たちの物理法則に対する見方は,かなり変わってきた。対象とする過程や反応が同じであっても,それらが,どの程度のエネルギー状態の中で起きているかで,素粒子物理学の理論の“見え方”が違ってくると考えられるようになった。
 私たちは時空の中に存在していて,その暮らしを通じて獲得した直観によって,多くの理論を生み出した。実際,場の量子論は,特殊相対性理論が組み込まれた4次元時空の原理によって,強い“枷(かせ)”がはめられている。しかし,すべての力を統一する真に基本的な理論が,そうした直観の働かない領域を表現しているとしたら,そのような理論を定式化するのに必要なアイデアを,時空の枠内にいる私たちが一体どうやって得ることができるのだろう。
 たとえ私たちが真の基本理論を定式化できたとしても,その正しさをどうやって裏付けるか,まったく見当がつかないことだ。理論は,それによる予言を実験で検証して初めて正当性が得られる。しかし,今のところ,真の基本理論をどう用いたら,こうしたことができるのか,よくわかっていない。
 真の基本理論を完成する上での,こうした難問がいつ克服されるか予想することは不可能だ。もしかすると若い理論研究者が明日出すプレプリント(論文出版前に出される前刷り)の中で解決されるかもしれないし,逆に2050年になっても,2150年になっても解決されないかもしれない。