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一度は失敗と思われていたガリレオ探査計画だが,1995年12月に観測装置(プローブ)を切り離し,木星の大気に突入させた日からガリレオは木星系の詳細な姿を送ってきた。これまでのデータと言えば,1970年代の惑星探査機「パイオニア」と「ボイジャー」が近くを通過したときのつかの間の探査によるものだけだった。大気プローブは万華鏡のようにさまざまに姿を変える雲の中に突入し,初めて外惑星大気を採取し,濃いガスの中で送信が途絶えるまでの1時間,データを送信し続けた。周回船(オービター)はまだ健在だ。木星やリング,個性的な衛星「ガニメデ」「カリスト」「イオ」「エウロパ」などの画像が地球に送られ,解析された。
最も素晴らしい成果は,1610年にガリレオ・ガリレイが発見した4つの大きな衛星の1つ,エウロパの氷の下に海が隠れているということだろう(R. T. パパラルド他「エウロパの隠された海」日経サイエンス2000年2月号参照)。しかし,他の大きな衛星でも,驚くべきことが明らかになった。太陽系で最も活動の激しい火山を抱える天体イオと木星は電子のビームでつながれていた。衛星としては初めて,磁気圏がガニメデで見つかった。やはり海の兆候があったカリストの名状しがたい神秘。これらすべて,ガリレオ探査の成果だ。