解き明かされる小惑星の世界

E. アスファウ
200008

日経サイエンス 2000年8月号

13ページ
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相次ぐ探査機の打ち上げで小惑星の素顔が明らかになってきた。小惑星は“一枚岩”ではなく,“がれき”が集まってできているらしい。太陽系の生い立ちを解くカギを握る天体としても脚光を浴び始めた。小惑星探査機「ニア」(NEAR)が軌道に乗り,これまで謎に満ちていた小惑星の素顔が明らかになろうとしている。
 私はブッシュ政権時代(1989 ?1993)に大学院生だったが,当時,小惑星は主に火星と木星の軌道の間を運動する1000個余りの“光の点”にすぎなかった。ほんの一握りの人が地球に近づく小惑星に関心をもっていただけで,大多数の人の興味の対象は彗星だった。小惑星の色や明るさは周期的に変わり,形は不規則で,大きさが「家」程度から「国」程度までさまざまで,数時間から数日に1回,回転していると推測された。小惑星に関する科学的な知識といえばその程度で,あとは想像の産物だった。
 火星や地球に近づく小惑星のスペクトルを調べると,どれも鉄を含んだ岩石でできている。一方,木星に近づく小惑星の多くは,暗くて赤い物質からできており,それらは原始太陽系星雲の状態からあまり変化していないと推定される。地球などの惑星は45億6000万年前,こうした星雲が凝縮してできたと考えられる。
 小惑星の大半は,太陽系が生まれたのとほぼ同じ時期に誕生したらしい。ちりやガスからなる星雲が凝集して惑星ができ,その初期段階では小さな粒子が集まって「微惑星」と呼ばれる小天体へと成長していった。この微惑星が,惑星を形作っている基本単位だ。
 最近では,直径1km以上の小惑星の大半は小さな破片が集まってできていると考えられている。高分解能の写真で見ると,重力が弱いにもかかわらず,おびただしい量のレゴリス(表面物質)に覆われている。ほとんどの小惑星に非常に大きいクレーターが数個あり,本体の平均半径より大きいものもある。もし小惑星が一枚岩でできていたとすれば,巨大な隕石が衝突した時,こうしたクレーターを作るのではなく,小惑星を小さな破片に砕いてしまうだろう。