知の21世紀へ
パソコン大容量化
迫り来る限界

J. W. トイゴ
200008

日経サイエンス 2000年8月号

15ページ
( 2.6MB )
コンテンツ価格: 713

 どの企業でもコンピューターにため込むデータ量が,年々倍増している。 膨大なデータをため込むことによって,データ検索や解析のソフトを使い,企業は素早く市場動向を把握し,顧客により良いサービスを提供したり,生産工程を改善したりできる。
 これらは安くて大容量の磁気ハードディスク駆動装置が手に入るようになり可能になった。容量が飛躍的に上がり,容量当たりの価格が低下したのは,市場が拡大したからだ。
 しかし,情報産業がこのような目覚ましい伸びを維持し続けられるかとなると,かなり疑問だ。何年か後には,技術が超常磁性と呼ばれる効果で限界に達してしまうかもしれない。超常磁性効果(SPE)は,簡単にいえば,情報記憶の単位であるビット(0か1)を形成する原子の磁気スピンのエネルギーが,周囲の熱エネルギーと同程度になったときに起こる。この現象が起きると,ビット情報が乱れ,情報に誤りが生じてしまう。
 IBM,シーゲート・テクノロジー,クアンタムなどハードディスク駆動装置メーカーは,ハードディスクの容量をさらに大きくすることを目指し,小さな面積により多くの情報を詰め込もうと,1ビット当たりの面積を小さくし続け,超常磁性効果の現れやすい領域へ近づいてしまった。しかし,研究者はこの超常磁性効果の壁を避けるため,さまざまな工夫を急いでいる。