特集:様相変わる戦争

G. マッサー
S. ネメセック
200009

日経サイエンス 2000年9月号

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過去10年程度で,戦争のルールは決定的に変化した。戦争に秩序らしさがなくなり,対立する2つの勢力の兵士が制服をまとい,戦線をはさんでにらみ合うという伝統的な光景はもう見られない。無政府状態も,もはや戦争のひとつの局面ではなく,それ自体が戦争といえるようになった。ボスニアやコロンビア,コンゴ,東ティモールをはじめ世界中の1/4の国や地域で紛争が最近発生したり,進行中だ。こうした紛争ではライフル銃や地雷,機関銃が使われ,国家のインフラや社会道徳,秩序を壊滅させた。それは核兵器の使用に匹敵する。
 こうした紛争では戦闘員だけが標的になるのでなく,一般市民の犠牲者も戦闘員と同じ程度か,それ以上に増えた。市民を守るはずの兵士が市民の財産を略奪し,逃亡した。子供たちも大人たちと肩を並べて戦っている。市民の住宅の寝室が前線になることさえある。病院や図書館は格好の標的だ。人道援助部隊の要員でさえ,人質のように扱われる。