特集:文化はどう進化するのか
主役は自己複製子「ミーム」

S. ブラックモアほか
200101

日経サイエンス 2001年1月号

14ページ
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辞書によれば,ミーム(meme)とは,「1つの文化の内部で人から人へと広がる思想や観念,行動,スタイル,あるいは慣習」だ。握手をし,「ハッピー・バースデー」を歌い,選挙で1票を投じるとき,実はあなたはミームに生命を吹き込んでいる。
 ここまでは誰も異論がない。しかし,ここで心理学者ブラックモアが述べている提案に関しては議論が噴出している。それは,他人を模倣でき,したがってミームを伝達できるという私たちの並はずれた能力こそが,人類をほかの動物から違った存在にしたのだという主張だ。彼女によれば,ミームは人類の文化的な,および生物学的な進化を形づくる強力な要因だった(そして今もそうだ)という。
 どういう論争があるかを伝えるために,行動生態学者のデュガトキン(Lee Alan Dugatkin),進化人類学者ボイド(Robert Boyd)と集団生物学者リチャーソン(Peter J. Richerson),心理学者のプロトキン(Henry Plotkin)による3編の短い反対意見を併せて掲載した。この競合するミームたちのごたまぜ料理をどうかお楽しみいただきたい。