特集:究極の光ネットワーク
最後のハードル,光パケット通信

D. J. ブルメンタール
200104

日経サイエンス 2001年4月号

5ページ
( 1.8MB )
コンテンツ価格: 509

 「光インターネット」の構築を目指した技術開発が本格化し始めた。その中核は,中継局に入ってくる光信号の一部やその全体を別のファイバーに切り替えて目的地に送り出す光交換技術だ。最近では,その次の世代の光インターネットのアイデアも浮上している。パケット(小包)と呼ばれるデータの塊を受信者の近くまで高速で送る「光パケット交換技術」だ。
 光パケット交換機の仕組みは地域の郵便局とよく似ている。地域から集まった大量の小包を仕分けし,どの小包をどこに送るか,1つずつ選別してトラックで送り出す。この作業は当面,米シスコシステムズ社やジュピター・ネットワークス社などが開発した電子ルーター(ネットワーク同士を接続する機器)が担うことになる。しかし,いずれは,電気信号をまったく使わずに光子(光を構成する粒子)を処理する「光ルーター」がパケット交換の主役になるだろう。
 光パケット交換で有力な手法とみられるのが,「完全光ラベル・スワッピング(AOLS)」と呼ばれる手法だ。この技術ではIPパケットの1つ1つか,複数のパケットの塊に専用の「ラベル」を張って区別する。IPパケットは郵便で言えば封筒に似ている。封筒の表には住所(アドレス)が書かれ,その中に手紙を収める。インターネットの用語では封筒の表書きを「ヘッダー」,手紙を「ペイロード」と呼ぶ。
 ヘッダーの前に分類用のラベルをもう一枚張るのがAOLS方式のポイントだ。郵便物の集配では集めた郵便を仕分けして,届け先が同じ地域の郵便を同じ袋に詰めて配送している。こうすれば,郵便局員は封筒を1つ1つ調べなくても,袋の宛先だけ見れば正しい送り先まで運べる。AOLSのラベルもこれと同じ働きをする。