マントル対流が地表を突き動かす

M. ガーニス
200106

日経サイエンス 2001年6月号

10ページ
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 地球表面の凹凸はどんな仕組みで造られたのだろうか。地球の外殻部はプレートと呼ぶ板状の岩盤で覆われており,「これらのプレート同士が激しく衝突して地形が造られる」という説がこれまで広く支持されてきた。例えば,巨大なヒマラヤ山脈がせり上がったのは,インド亜大陸がアジア大陸に激しく衝突したためだ。アンデス山脈が成長したのも,太平洋の海底が南米大陸の下に沈み込んだのが原因と考えられている。こうしたメカニズムは「プレートテクトニクス」とも呼ばれる。しかし,その力がどんなに強いとしても,これだけでは地球表面に巨大な地形ができた理由を説明できない。
 アフリカ南部を見てみよう。この地域は世界有数の広大な高原で,幅は1600km以上,標高も1600m近くある。地質学の調査結果によると,アフリカ南部やその周辺の海洋底は1億年前から現在まで,ゆっくりと隆起し続けている。しかし,この周辺では4億年近くもプレートの衝突が起きておらず,プレートテクトニクスでは隆起の謎を説明できない。
 この隆起は「アフリカ巨大隆起(アフリカン・スーパースウェル)」と呼ばれているが,これこそがまさに,地球表面で巨大な地塊が激しく上下運動していることを示す代表例だ。遠い昔にはオーストラリアや北米でも広大な大陸が数千mも沈降し,その後,再び隆起した。
 最近,高性能のコンピューターを駆使して,現在のマントルの姿と過去の運動の痕跡とを結びつけるシミュレーション(模擬実験)技術が登場した。この結果,地球表面で大規模な隆起や沈降がなぜ起きたのか,その仕組みが明らかになろうとしている。