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現在の科学技術では大地震の直前予知はきわめて難しい──。1995年の阪神大震災以来,地震学者の間ではこんな考え方がほぼ定説になっている。地震予知では「発生場所」「規模」「時期」という3つの要素をある程度の正確さで予測する必要がある。しかし,地震の原因となるプレート(地球を覆う岩板)の沈み込みや活断層の破壊はきわめて複雑で,それらを詳しく観測しても予知は困難と考えられている。
一方,ここ数年,新しい発想に基づく地震予知の研究が注目され始めた。地殻破壊に先立って地盤の電気的状態や電離層に変化が現れるとの仮説に立ち,電磁的な異常をとらえる研究だ。なかでも天体観測家の串田嘉男氏によるFM電波(VHF=超短波帯域波)を使った観測法が注目されている。この方法は,地震予知が可能かどうかという論議にとどまらず,科学研究のあり方にも一石を投じている。(編集部)
「電磁研究に距離を置く地震学者」(清水正巳・日本経済新聞編集委員)の補足記事も同じPDFにあります。