20人学級の教育効果は?

R. G. アーレンバーグ
D. J. ブルーワー
A. ガモラン
J. D. ウィルムス
200202

日経サイエンス 2002年2月号

8ページ
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知的,社会的,経済的,また身体的に,人間がより恵まれた生活を送るためには,教育を受けることがもっとも確実な方法だ。教育は現代の社会を支える柱であり,どうすれば最善の教育ができるかについては,果てしない論争が続いている。
 学級規模の縮小はそもそも学術的な研究の対象だったが,仕組みがわかりやすく,強力な反対勢力を生じないため,最近ではもっとも有力な政治的選択肢となった。米国では,20以上の州と連邦政府が学級規模の縮小を目的とした政策を採用し,過去数年間に数十億ドルが費やされている。カナダ,オーストラリア,英国,そして中学生の学力に関しては他の先進国の羨望の的となっている日本のような国でも,少人数学級を求める声が高まっている。
 学級規模の縮小には,明らかな短所が1つある。多額の費用がかかることだ。教師の数だけでなく,教室,地球儀,黒板なども増やさなければならない。例えばカリフォルニア州は,幼稚園から小学3年生までの学級規模を20人以下に縮小するために,ここ数年,毎年15億ドル以上を費やしている。こうしたコストと比べると,教師に試験を課したり,優秀な人材を引きつけるために教員の給与を上げたりするなどの施策にかかる費用は小さく見えてしまう。
 だが,もし少人数学級教育が本当に成功すれば,その経済効果は非常に大きい。よりよい教育を受けた労働力がもたらす効果はもちろんだが,国民がより健康で多くの知識をもつことによって,医療費が抑制され,病気による欠勤も減るなど,他の多くの要因からも経済効果が生じる。