銀河の大気
星間ガスのダイナミズム

R. J. レイノルズ
200204

日経サイエンス 2002年4月号

12ページ
( 2.6MB )
コンテンツ価格: 700

天の川銀河は,非常に薄い星間物質と呼ばれる大気に取り囲まれていることが20世紀半ばからわかっていた。星間物質は,まさに何十億個の星々の間に広がっている。これら星間物質は一般に冷たく,星を作る原料として静かに銀河の中を漂っていると思われていた。美しい夜空を見上げてもこういったことにはなかなか気づかないものだ。
 しかし,最近になってもっと予想もつかないようなダイナミックな星間物質の様子がわかってきた。星間物質の密度,温度,電離の様子は極めてバラエティーに富んでおり,それらが混然として銀河の中に存在しているのだ。超新星爆発は巨大なバブルを吹き上げる。それらは渦巻腕のある銀河円盤から煙突のように吹き上げられ,再び噴水のように円盤へ戻っていく。極端な場合は,円盤の外へ行ってしまうこともある。このほかにもさまざまな現象がつながって,天の川銀河にある“大気”を通じて地球のある場所からはるか離れた銀河の円盤にまでその影響を及ぼしていく。
 実際,地上にある天文台や宇宙望遠鏡は,天の川銀河の大気は惑星の大気にひけを取らないほど複雑で興味深いことを次々と発見している。星々や星間物質の間に働く重力,星からの放射,飛びかう宇宙線,そして磁場。これらが複雑に関連し合い,星間物質は絶えずかき乱されたり暖められたりする。まさにリサイクルされ,色々な相の星間物質へと姿を変えながら進化しているのだ。