惑星の環
その美を生んだ力学

J. A. バーンズ
D. P. ハミルトン
M. R. ショーウォーター
200205

日経サイエンス 2002年5月号

10ページ
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コンテンツ価格: 713

ガリレオが土星の環を発見したのは1610年。その後3世紀半を経て,天王星と木星,海王星に相次いで環が見つかった。ハッブル宇宙望遠鏡やガリレオ探査機などの観測データが続々と届き,環の詳細な姿が明らかになった。これらの環はどのように生まれ,なぜこれほどまでに複雑な姿をしているのか?ともに惑星をめぐる衛星たちが重要な役割を演じている。
 衛星が環に及ぼす影響には3つの基本的なプロセスが働いている。軌道の共鳴,衛星と粒子が近づいた際に生じる重力の相互作用,そして衛星による物質の放出・吸収の3つだ。
 共鳴は環を構成する粒子の軌道をゆがめ,その場から追い払ってしまう。土星のA環とB環に外側の縁があるのはこのためだ。また,粒子の密度に濃淡の波ができ,複雑な縞模様を作り出す。
 衛星と粒子が接近遭遇すると,重力の相互作用が働き,互いの軌道が反発しあう結果になる。共鳴の場合と同様,このメカニズムは環の中にぽっかり空いた間隙をこじ開ける。土星のA環とB環を隔てる「カッシーニの間隙」などはこの作用でできた。環の縁に波形の模様を作り出す効果もある。
 また,衛星は重力によって徐々に粒子を集め,その後,別の小天体との激しい衝突によって,再び粒子を環へ放り込む。こうした物質の出入りがどこで均衡するかによって,環の広がりも変わってくる。