特集: DNAチップで医療はここまで変わる
出番を待つタンパク質チップ

N. L. アンダーソン
G. バルカーズ
200206

日経サイエンス 2002年6月号

2ページ
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コンテンツ価格: 400

 タンパク質チップ(タンパク質アレイ)は基板上にDNA 分子の代わりにタンパク質を並べたものだ。タンパク質チップを使えば,DNA チップと同じように,生体の組織や細胞のタンパク質の濃度を測定できる。それどころか,タンパク質チップのほうが直接的な情報が得られ,精度も高い。
 生体内で作られている何千種類というタンパク質のうち,どれとどれが相互に作用し合っているかを明らかにするという点では,タンパク質チップにまさるものはない。
 こうした特性があるため,タンパク質チップへの生物学者の関心は高い。だが一般的な興味はもっと別のところにある。タンパク質チップが完成すれば,病気の診断にかかる時間が短くなるとの期待が大きい。
 DNA チップとは異なり,タンパク質チップなら血液の血漿(けっしょう)からデータが取れる。この理由からも,タンパク質チップは診断手段として極めて有用だ。感染症でも心臓病や腎臓病でも,発病すると血液中に何らかのタンパク質が分泌され,血液中にその痕跡が残る。さらに,タンパク質チップなら,病気にかかわるほぼすべてのタンパク質を1 回の検査で測定できる。従来の検査では,一度に検出できるタンパク質は1 個か数個でしかない。