背景放射で未知の天体をあぶり出す

G. ハージンガー
R. ジリ
200206

日経サイエンス 2002年6月号

11ページ
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宇宙からは様々な電磁波が地球に降り注ぐ。銀河や惑星など既知の天体が出す分を差し引くと正体不明の天体から来ていることになる。これが宇宙背景放射だ。
 背景放射と言えば,ビッグバンの名残りを見つけたマイクロ波が有名。まさに宇宙全体に広がった放射源から来ている。だがそれは背景放射の一部。X線や赤外線,可視光など様々な種類がある。
 ここ5年ほどで望遠鏡の性能が飛躍的に向上し,背景放射と考えられてきた電磁波についても放射源が相次いで見つかるようになった。既知の天体の影響を根気よく取り除いていくのは骨の折れる作業だが,この手法が確立したおかげで,ブラックホールが意外に多かったことがわかり,超大光度赤外線銀河(ULIRG)と呼ばれる特殊な天体も見つけられた。
 天文学の世界には,見かけと真実は大違いであると思い知らせてくれるような事柄がたくさんある。背景放射はその典型だ。夜空は見かけと違って完全な暗黒ではないことを教えてくれる。