ワールドワイドコンピューター

D. P. アンダーソン
J. クビャトビッツ
200206

日経サイエンス 2002年6月号

10ページ
( 2.1MB )
コンテンツ価格: 700

世界中のパソコンをインターネットでつなげば,巨大な能力を持つコンピューターが出現する。膨大な計算を分散処理で実行する試みが始まっているほか,ピア・トウー・ピアのファイル交換システムなども実現している。
 しかし,これらはまだ序の口にすぎない。ネットにつながった無数のリソース(コンピューター資源)を自由に貸し借りできる環境が整えば,さらに進んだ新しいコンピューター利用形態がひらけ,個人も企業も恩恵を被る。
 例えばごく普通のパソコン所有者が,自分がパソコンを利用していない時にマシンの計算処理能力やディスクの空き領域を他人に提供できるようにする。映画配信会社がこうしたリソースを利用すれば,大きなコンピューターを買い込まなくても多様なサービスが可能になる。また,個人の大切なファイルを暗号化して多数のパソコンに分けて記憶しておけば,どこかのディスクが壊れたとしてもバックアップは万全だ。
 カギを握るのは,ネット上でリソースの配分を指揮するインターネット規模のオペレーティングシステム(ISOS)だ。どのパソコンにどの仕事を割り当てるか,リソースを貸した人にどう報酬を支払うかなども監督する。
 現在,米国でISOSの研究が進みつつあり,基本的な骨格が見えてきた。セキュリティーの確保や不正防止などの工夫も必要になるが,いずれはインターネットでつながった“ワールドワイドコンピューター”が実現するだろう。