特集:プロテオミクス
日本の研究の現状

西村尚子(サイエンスライター)
200207

日経サイエンス 2002年7月号

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 日本のライフサイエンス関連予算は近年大きな伸びをみせている。平成13 年度と14 年度を比較すると,文部科学省の「戦略的重要分野の研究開発の重点的推進」のライフサイエンスの項目は561 億円から717 億円へ,経済産業省の「戦略的な研究開発投資」のライフサイエンスの項目は97億円から136億円へ,それぞれ1.3 倍,1.4 倍に増加。バイオテクノロジーや医療全般となれば,この額をはるかに上回る。
 このなかでもタンパク質解析の比重は大きく,文部科学省のタンパク質の構造・機能解析を中心にしたポストゲノム研究の予算は約490 億円。プロテオミクスにかける政府の意気込みは相当なものだ。
 日本初の国家的なプロテオミクス研究は,文部科学省が強力に推進する「タンパク3000 プロジェクト」だ(33 ページ「医薬開発はこう変わる」参照)。同省の管轄下にある理化学研究所などが中心に研究を進める。
 理化学研究所の横浜研究所ゲノム科学総合研究センターにあるNMR 棟は,まさにタンパク3000 プロジェクトを推し進めるために作られたような施設である。そこでは,大がかりな装置で日々「タンパク質の身体測定」が行われている。
 同研究所でタンパク質構造・機能研究グループを率いる横山茂之博士らが解明を急ぐ課題は2 つある。ひとつは「ゲノム情報をもとにつなげられるアミノ酸がどのように立体構造をとるのか」ということ,もうひとつは「タンパク質の立体構造と機能には,どのような規則性があるのか」ということだ。