レーザーで結ぶラストワンマイル

A. アカンポーラ
200210

日経サイエンス 2002年10月号

7ページ
( 2.7MB )
コンテンツ価格: 611

オフィスや家庭と光ファイバー基幹回線との間に残された“最後の1マイル”をどう結ぶか。新手法が浮上している。赤外線レーザーを飛ばして信号を送る「空の光ファイバー」と呼べる自由空間光通信システムだ。基幹回線とオフィスや家庭の間を高速接続する「ラストワンマイル」を解決する有力候補として浮上してきた。

 なんといっても魅力は設置工事が簡単で高速通信が可能なことだ。

 オフィスや家庭の中まで光ファイバーを敷設して基幹回線と接続するには,1マイルあたり10万?50万ドルと膨大な費用が必要だ。自由空間光通信システムの設置にかかる費用は光ファイバーを敷設する場合の1/10?1/3ですむ。ケーブルの敷設工事には半年から1年ほど必要だが,自由空間光通信なら機器の設置からシステムの稼働までわずか数日しかかからない。

 伝送速度もDSL(デジタル加入者線)やCATV(ケーブルテレビ)よりも遙かに大きい装置がすでに実用化している。毎秒10メガ(メガは100万)?1.25ギガビットのデータを伝送でき,最高水準のブロードバンドサービスやアプリケーションを実現するには申し分のない性能だ。

 ただ,濃霧などの悪天候の場合,レーザーの到達距離は極端に短くなる。しかし,光送受信機を短い間隔で配置して網の目状にネットワークを構築すれば,中央の配信センターから市や町,地域全体へと膨大なデータを確実に中継できるようになる。

 霧が発生しても信号が減衰しないマイクロ波無線と組み合わせれば,悪天候に強くてコストの低い高速通信が手軽に実現できる。この2つの組み合わせがラストワンマイル問題の解決の有力候補になるといえそうだ。