特集:時間とは何か
宇宙論
時間はどのようにして始まったのか

佐藤勝彦
200212

日経サイエンス 2002年12月号

4ページ
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私たちの住むこの世界には,始まりというものがあったのだろうか。もし始まりがあったのなら,その前はどうなっていたのだろう――。だれもが一度は抱いたことのある疑問だろう。
 現在の標準的な宇宙理論「ビッグバンモデル」によれば,宇宙は130億年の昔に“無”から創成され,膨張を続けている。しかし,この相対論的宇宙論には大きな問題がある。宇宙の始まりが“尖っている”,つまり物理量が無限大になってしまう数学的特異点になっているということだ。これは,時空が不完全で自己完結的でなく,外からこの宇宙を支配する情報が入り込んでくることを示しているという。この矛盾を回避するために,さまざまなアイデアが提案されている。
 ビレンキンの「無からの創成」は,何もない“無”から突然,有限の大きさの宇宙が生まれることを示した。時間に始まりがあったということになる。一方,最近の「エキピロティック宇宙モデル」によれば,宇宙は永遠に膨張収縮を繰り返し,時間には始まりも終わりもないことを示唆している。
 さて,著者の結論は‥‥。