ネット社会を変革するグリッドコンピューティング

I. フォスター
200307

日経サイエンス 2003年7月号

12ページ
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世界各地に分散したプロセッサーや記憶装置,ソフトウエアを高速通信網で結びつけて利用するグリッドコンピューティングが注目を集めている。個人や企業が個別にコンピューターを使うよりもはるかに効率的で,優れた能力を引き出せる。電力や水のように,コンピューターを誰もが使える「汎用資源」として共有する時代がやってくるだろう。
 グリッドコンピューティングとは,高速のネットワークを介して多数のコンピューターを統合したシステムのことだ。言語や通信手順を統一すれば,世界中のコンピューター資源をつなぐ大規模なグリッドを構築できる。資源の共有化によって,利用者が望む情報やサービスを提供できるようになる。
 グリッドシステムを形作るネットワークは複雑で高度な仕組みになるが,利用者にとっては“空気”のように存在を意識させないものだ。遠く離れたコンピューターが関係していても,あたかもすぐそばのコンピューターが働いているように見える。
 グリッド技術によって,科学分野やビジネスで大規模な共同作業が可能になる。遠隔実験や高機能の分散処理計算,データ解析などだ。企業の関心も高い。すでにさまざまなプロジェクトが進み,科学分野では大きな成功を収めている。著者らが設立した国際組織「グローバル・グリッド・フォーラム」は技術の標準化を進めており,商業分野の利用も広がりそうだ。