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米国の探査車スピリットとオポチュニティーが火星着陸を果たした。一部機器が不調に見舞われたものの,鮮明な画像が次々と送られてきている。しかし,探査はこれからが本番だ。NASAの科学者たちの挑戦がいまも続いている。
探査車の科学機器を担当した首席研究員スクワイアーズ(Steve Squyres)は火星に探査機を送り込むべく,過去17年にわたって努力してきた。マーズ・オブザーバー計画では探査機を火星到着直前に失うという辛い体験もした。「初志を貫徹するには,何よりも楽観的であることが大切。そして,何が起きても大丈夫なように覚悟を決めるには,同時に悲観的であることも必要になる」と語る。
水や生命の痕跡をめぐって,火星の科学は激動期にある。過去の探査車は必ずしも科学的に見て調査にふさわしい場所を選んで着陸したわけではなかった。「火星に降り立って,その環境がどのようなものか突き止める――それを目指した実質的に初の試みが,今回のマーズ・エクスプロレーション・ローバーなのだ」と惑星地質学者のゴロンベック(Matt Golombek)はいう。
地球の兄弟星である火星がどこまで地球に似ており,そしてどう違うのか。スピリットとオポチュニティーは一歩一歩,1つひとつ明らかにしていくだろう。