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現代物理学を支える2本の柱である量子論と相対論を駆使することで,宇宙の創生から豊かな構造を持つ現在の宇宙にいたる進化のシナリオが描き出された。「ビッグバン宇宙」モデルである。20世紀後半から爆発的に進んだ観測によって,それが裏づけられた。
現代のハイテクと人工衛星からの観測によって,何十億光年にもわたる広大な宇宙の地図や,宇宙誕生からわずか38万年しか経っていないころの地図まで描き出されてきた(本特集の「背景放射に聴く宇宙の響き」「大規模構造の進化をたどる」)。
これらの観測結果は同時に大きな謎をももたらした。正体不明の暗黒エネルギーに働く斥力によって,宇宙はいま加速度的な膨張を始めている(「減速から加速へ 宇宙膨張の奇妙な変化」)。これに対しブレーン宇宙モデルは,私たちの宇宙は10次元(もしくは11次元)の空間に浮かぶ3次元の膜のようなものだと考え,暗黒エネルギー問題を解く興味深い糸口を与えている(「書き換えられる重力の法則」)。
科学は謎を解くことで進む。宇宙論に残る謎の解明に挑むことによって,新たな物理学の扉が開けてくる。