ICタグの未来
実用化への本当の課題

R. ウォント
200405

日経サイエンス 2004年5月号

11ページ
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 身の回りのあちこちに埋め込まれたマイプ「ICタグ」が,コンピューターネットワークとつながって,様々なサービスを提供してくれる──そんな時代が近付いている。買ってきたプリンターはコンピューターのそばに置くだけで自動的に接続され,冷蔵庫は牛乳とサラダの賞味期限を検知して教えてくれる。スーパーでショッピングカートに欲しいものを放り込めば出口に向かう間に精算が完了するという具合だ。
 すでに一部の高速道路では,車に貼ったICタグの情報を料金所の装置で読み取り,口座から料金を引き落としている。車をいちいち停車させ,渋滞を招くこともない。
 一方でICタグは,個人のプライバシーをおびやかす危険もはらむ。本格的に普及すれば,誰がいつ何を買ったかという履歴が,簡単に把握できてしまう。店鋪やメーカー,警察や裁判所など,様々な機関が,これらの情報を欲しがるだろう。米では消費者団体が,商品にICタグを付けて在庫を管理しようとした企業に対する,不買運動も起きている。
 こうした問題を解決し,技術革新によって低コスト化できるかどうかが,ICタグ普及のカギを握る。うまく普及すれば,人間がコンピューターに合わせるのではなく,コンピューターが人間に合わせてくれる,快適な社会が実現するはずだ。