電子投票システムの落とし穴

T. セルカー
200501

日経サイエンス 2005年1月号

10ページ
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 電子式の投票装置を利用すれば集計作業を合理化できる。しかし,問題は信頼性だ。米国ではソフトの欠陥やセキュリティーをめぐって数々の疑問が生じている。
 2000年の米国大統領選挙では,有権者の確定と票の集計方法に関して極めて基本的で制度的な欠陥が露呈した。400万から600万にのぼる票が集計されず,あるいはそもそも投票されなかったのだ。これらの約2/3は有権者名簿や投票所の問題だが,残り1/3は投票用紙の設計不良や装置の故障など技術的な問題が原因だった。こうした状況を改善しようと,レバー式投票機やパンチカードなどの古い投票方式をやめ,新方式に切り替える検討が全米で進んでいる。主に考えられているのは電子式の投票装置だ。
 しかし,電子投票装置の導入には十分な検討が必要になる。ソフトウエアの欠陥や悪意ある改変,セキュリティーの欠陥,ユーザーインターフェースの質について,専門家に依頼して徹底的に調べるべきだ。
 現在では事実上すべての票が,投票方式のいかんにかかわらず,何らかの電子的な形で保管・伝送されている。あらゆる投票システムについて,コンピューター上での不正操作が可能な状況だ。さらに電子投票装置が普及すると,有権者が1票を投じるその瞬間から,こうした不正操作が可能になってしまう危険がある。選挙管理担当者は投票装置をよく理解し,不正が行われないように運用しなくてはならない。