特集:地球の未来
対談:日本が歩むべき道 京都議定書からの出発

西岡秀三×大塚啓二郎
200512

日経サイエンス 2005年12月号

6ページ
( 1.2MB )
コンテンツ価格: 611

編集部 特集『大選択 地球の未来』では,限りある存在である地球の姿が明らかになった現在,環境と共生可能な社会システムとは何か,各分野の専門家が解説しています。この特集から,今後日本が何をすべきかを考えていきたいと思います。
 
西岡 特集を通して,全体に非常に楽観的ですね。目標とすべきシステムは明確に示されていて興味深いのですが,それを実現する次のステップに進むために,現在の社会システムのどこを変えていかなければならないか,もう少し具体的に考えていかなければなりません。実際,それが現在私たちが抱えている問題でもあるからです。
 
大塚 そうですね。現実に社会システムを変革していくためには,この特集に出てくるような各論だけではうまく機能できない。もっとシステムの全体像を語る必要があります。
 また,プロローグ(「ボトルネックを超えて」)で,現状はボトルネック状態にあると述べていますが,現状を超えるシステム作りを語る際に重要な,京都議定書の位置づけにあまり触れられていませんね。専門家である西岡さんはどうお考えですか。
 
西岡 京都議定書は,第一約束期間の2008年?2012年という具体的なゴールに向かって,温暖化ガスを目標通り削減するために何をすべきかを示しています。経済的メカニズムにあまり踏み込んでいないなど不十分な点はありますが,温暖化対策のロードマップとしては非常に優れたものです。
 ただ,グローバルな視点で環境問題を考える上では,京都議定書の実行は,これから人類がすべきことのほんの第一歩にすぎません。温暖化対策についての京都議定書の理念を理解するためには,一度,その前段階である「気候変動枠組条約」(1992年に署名)に立ち返って考える必要があるでしょう。