特集:地球の未来
優先順位をどうつけるか?

W. W. ギブズ
200512

日経サイエンス 2005年12月号

8ページ
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 今後50年間で,世界が直面する環境問題や人道問題はさらに深刻なものとなるだろう。これらの問題に対処すべく,すでに一定の関心と努力,資金が払われているが,どの問題に資源を振り向けるか,その選択はますます厳しくなる。
 これまで各国政府や国際機関などが取り組んできた対策は往々にして一貫性を欠き,民間部門の力を十分には引き出せなかった。この場合,進歩は遅々として進まず,コストもかさみがちだ。
 これに対し,経済的メカニズムによって人間の競争本能や取得本能を幸福な世界の実現へと導けば,多くの社会・環境問題をうまく改善でき,各国政府が伝統的に用いてきた「命令・統制」手法よりも迅速かつ低コストですむと考えられるようになってきた。
 気候変動の抑制や水資源管理の改善,漁業資源の回復,生物多様性の保全に向けて経済的インセンティブを生み出すため,新たな市場が世界各地で創出されている。ただし,これらの市場が効果的に機能するには,必要な要素の多くがまだ欠けている。「適切に設計され」「注意深く管理される」というのが必須の条件だが,そこに実に厄介な問題が潜んでいる。
 市場だけではおそらくうまくいかないだろう。しかし,政府だけではうまくいかないのは証明ずみだ。最も急ぐべきは,この両者を賢明に融合させることだろう。