キーワードはもういらない
ここまできた画像検索

G. スティックス(SCIENTIFIC AMERICAN編集部)
200611

日経サイエンス 2006年11月号

5ページ
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1枚の絵は千の言葉より多くを語るといわれるが,「rosebud(バラのつぼみ)」という言葉をグーグルのイメージ検索に入力すると,なんと6万枚近くの写真や絵が返ってくる。キーワード検索の威力はまさにもろ刃の剣だ。ウェブ上にある画像を山のように集めてくれるが,その反面,美しいバラの花とオーソン・ウェルズ監督のしかめっ面を区別することはできない(“バラのつぼみ”はオーソン・ウェルズの映画『市民ケーン』に登場する謎の言葉のこと)。検索エンジンにバラの写真を見せて,「こういう物を探してほしい」と命令できればよいのだが……。
 
このように,画像を使って求める画像を検索する発想は以前からあった。10年ほど前,写真と写真を照合したり,緑色の背景に大きな赤い丸といった簡単な絵を入力するとデータベースからバラの写真を探し出すソフトウエアがすでに登場していた(D. フォーサイス/J. マリク/R. ウィレンスキー 「絵の特徴から選び出す画像検索法」日経サイエンス1997年9月号参照)。こうしたタイプの検索を「コンテンツベース画像検索」と呼ぶ。ところが,その後は目立った進展がなく,大学院生の学位取得研究に毛が生えた程度にとどまっていた。
 
最大で数十億件もの写真やグラフィックのリンクを収めている大手の検索エンジンでも,膨大な数の画像を探し当てるのに画像検索を活用している例はまだない。
 
ところが最近になって,産業界と学術界の両方から興味深い研究成果が発表され始めている。これらの研究ではキーワード検索に頼るのを止め,大容量のデータベースにある画像の内容そのものを読み解こうと試みている。