惑星って何だ? 冥王星騒動の顛末

S. ソーター
200704

日経サイエンス 2007年4月号

8ページ
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2006年夏の国際天文学連合の総会で,惑星の新しい定義が採択された。その結果,冥王星が惑星リストから外れることになり,世界中に大きな衝撃が走った。

天文観測技術の向上は,1990年代以降,次々と新しい発見をもたらした。地球から遥か彼方にある海王星の外側に存在する「カイパーベルト」の様子が明らかになるにつれて,そこには比較的大きな天体が存在することがわかってきた。「恒星の周りを回り,恒星の光を反射して輝き,小惑星より大きな天体」という従来の惑星の定義に当てはまりそうな天体が,いくつも存在するというのだ。

そして2005年,冥王星の軌道近くで,冥王星よりも大きな天体が発見された。エリスだ。エリスを10番目の惑星にするのか? エリス以外の天体も? それとも…。惑星の定義をめぐる論争が巻き起こった。

惑星は,原始太陽の周りに存在した塵とガスの回転円盤から生まれた。小さな塊は衝突を繰り返しながら天体に成長し,やがて,それらは近くの天体を呑み込んだり,弾き飛ばし始めた。こうしてその軌道領域を「支配」する存在となったのが惑星だ。惑星の新定義は,この太陽系形成の歴史を反映したもので,天体間の力学という自然法則に根ざしている。観測データからその「支配」の度合いを数値化でき,それは,天体を惑星と呼ぶべきか否かの明確な線引きを与えている。

長く慣れ親しんできた冥王星を惑星リストから外したくないという声がある一方,新定義を歓迎する声もある。新定義は太陽系の起源と構造に対する理解がさらに深まったことを如実に表していからだ。