エタノール燃料の活路

M. L. ウォルド(ニューヨークタイムズ紙)
200704

日経サイエンス 2007年4月号

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現在,米国では炭水化物(農産物)の炭化水素(バイオ燃料)への変換利用が奨励されている。

40年ほど前,米国では100以上の原子力発電所の建設が計画された。政府は今また大規模なエネルギー源の転換を迫られる可能性を見越して,エタノール使用量を増やしてきた。2005年8月,米国議会は輸入燃料に代えて,エタノールの年間使用量を当時の1510万キロリットルから2012年までに2840 万キロリットルに拡大することを義務づける重要なエネルギー法案を可決した。

業界アナリストの分析では,政府の税制や補助金のおかげでそれよりかなり前倒しで目標を達成できるという。石油価格の高値が続けばさらに早くなる。というのもガソリンの価格は昨年の秋に1ガロン(約3.78リットル)当たり2.5ドル(1リットル約80円)まで上昇したが,トウモロコシからエタノールを作るコストはそれよりはるかに低いからだ。

再生可能燃料協会によると,2006年度の米国内のエタノール生産量は1890万キロリットルを超えるという。ガソリンとディーゼル燃料の年間5億3000万キロリットルという消費量に比べれば少ないが,1年で50%増加している。

米国エネルギー省エネルギー効率・再生可能エネルギー局のカースナー(Andy Karsner)次官補によると,石油価格の高騰によるエタノール需要の増大にともない,開発業者がエタノール工場の建設を急いでいるという。カースナーいわく「1850年代に起きたペンシルベニアの石油ラッシュのような」エタノールブームが起きているらしい。