対談「最強の生き物 クマムシの素顔」

鈴木忠(慶應義塾大学)
茂木健一郎(ソニーコンピュータサイエンス研究所)
201011

日経サイエンス 2010年11月号

7ページ
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 カラカラにひからびても,氷漬けになっても,真空中に放り出されても,放射線を浴びても平気。クマムシはそんな不思議な生物だ。体長は1ミリにも満たず,肉眼で見ることは難しいが,高山から深海,砂漠から南極までいたるところに生息し,普段は8本足でノコノコ歩いている。だが乾いた場所や氷の中ではきゅっと縮こまって樽のような形になり,驚くべき耐性を発揮する。
 そんなクマムシに魅せられて飼育し,長年観察を続けている慶應義塾大学の鈴木忠准教授を,茂木健一郎さんが訪ねた。遺伝子解析などの今どきの生物学研究の手法は使わず,ひたすら動物を採集して観察するその研究スタイルは,生物学の原点だ。
 茂木さんもかつてファーブルに魅せられ,蝶の採集に夢中になった。2人の元昆虫少年が,実際に歩き回るクマムシを顕微鏡で観察しながら,「死んでも生き返る生物」と思われた発見の経緯から,驚異的な生存能力に関する伝説と実態,謎に包まれた性生活?と繁殖まで,クマムシの生活史を語り尽くす。