脳とこころのスイッチ エピジェネティクス最前線

E. J. ネスラー(マウントサイナイ医療センター)
201203

日経サイエンス 2012年3月号

9ページ
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 同じ遺伝子を持つ一卵性双生児でも,薬物依存症やうつ病などの精神疾患になる人とならない人がいる。その理由は何だろう? ここ10年の研究で,環境が遺伝子の情報を変えることなく,その振る舞いを変化させる様々な分子メカニズムが明らかになってきた。遺伝子が変異するのではなく,遺伝子の活性を決める化学的な標識が遺伝子に付くことを「エピジェネティック」な修飾という。薬物使用や慢性ストレスがエピジェネティックな変化を引き起こし,脳の反応を変えることを示す証拠が見つかり始めている。この変化はしばしば生涯残り,薬物依存症やうつ病などの精神疾患が発症するか否かを左右している可能性がある。