アリ軍団の見事な戦法

M. W. モフェット(米国立スミソニアン自然史博物館)
201203

日経サイエンス 2012年3月号

8ページ
( 3.0MB )
コンテンツ価格: 611

 アリは数百万匹も集まって1つの社会を形成し,複雑な活動を営んでいる。輸送や公衆衛生,作物栽培など様々な活動の中でおそらく最も興味深いのは戦争をすること。集団どうしが壊滅の危険を顧みず,激戦を展開する。アリの取る戦略が人間の戦略と酷似していることに研究者が気づき始めたのは,ごく最近だ。密集隊形を組んで進む様子は,古代シュメール時代から南北戦争の部隊に至るまで用いられてきた戦闘隊形を思わせ,休まず攻撃し続けることによって勝利を得る戦法は,「戦いは素早さが肝要」という孫子の兵法の言葉を思い起こさせる。全軍を同時攻撃するのではなく,1部隊ずつ打ち破る各個撃破戦術を取ることもある。