驚異の長寿因子ラパマイシン

D. スティップ(サイエンスライター)
201204

日経サイエンス 2012年4月号

10ページ
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 モアイ像で知られる南太平洋の孤島,イースター島で半世紀前に採集された土の中の細菌から,1つの化学物質が得られた。同島を表す現地の言葉「ラパ・ヌイ」にちなんで「ラパマイシン」と名付けられたこの物質は驚くべき力を秘めていることが2009年にわかった。マウスを使った実験で最長寿命(集団中で長生きした上位1割の平均値)が10%以上延びることが判明したからだ。これは加齢学の分野においては「(航空機開発での)音速の壁の突破に匹敵する待望の成果」と著者はいう。その仕組みを明らかにすれば,アルツハイマー病やがん,心不全など加齢に伴う疾患の予防治療に役立ち,さらには私たちの寿命も延ばせる可能性がある。監修は本文中に紹介されているスイス・バーゼル大学のN. ホル教授のもとで研究したことがある静岡大学の丑丸敬史教授。