“パニック脳”を科学する

A. アーンステン
C. M. メイジャー
R. シンハ(ともにエール大学)
201207

日経サイエンス 2012年7月号

7ページ
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 試験やスピーチの際,あがってしまって頭が真っ白になった経験は誰しもあるはずだ。最近,そのメカニズムの解明が進んできた。物事がうまく運んでいる時,脳の前頭前野は私たちの浅ましい感情や衝動を抑える制御中枢として働いている。しかし,強い急性ストレスにさらされると,前頭前野の支配力が弱まり,進化的に古い脳領域の支配が強まることがわかった。思考と感情を高度に制御する領域が,視床下部など古くからの脳領域に移ってしまうのだ。そうなると,私たちは身のすくむような不安に駆られたり,普段,抑え込んでいる衝動に負けたりする。こうした知見を踏まえ,冷静さを保つための行動療法や薬剤の開発も行われている。