自然史標本を救え
東北の博物館の戦い

滝 順一(日本経済新聞論説委員)
201209

日経サイエンス 2012年9月号

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 東日本大震災で大きな被害を受けた岩手,宮城,福島県の博物館で,資料や自然標本を一時避難させたり,修復・保存したりする作業が進んでいる。関係者の自助努力に加え,救援の手をさしのべたのは,近県や全国の博物館・学芸員らのネットワークとボランティアの人々。水浸しになった資料を乾かして安定化処理したり,標本が散逸しないようリストを構成し直したりするなど,必要な作業量は膨大だ。保存技術の専門家の不足など,浮かび上がった課題も少なくない。陸前高田市の市立博物館などをケースに,被災直後からの歩みをリポートする。博物館の復興は後回しにされがちだが,地域社会の関係を確認する機会ともなっている。