特集:世界の科学力
科学のグローバリゼーション

J. セクストン(ニューヨーク大学)
201301

日経サイエンス 2013年1月号

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 グローバル化によって科学研究は巨大な国際的営みとなった。研究活動の指標を見れば,科学力の爆発的増大と国際共同研究に向かう強い潮流は明らかだ。2カ国以上の研究者が共同執筆した科学論文は1996年に全体の約25%だったが,いまは35%を超えている。米国の科学者と他国出身者の共著論文の割合は2006年の16%から2008年には30%になった。2008年に中国の科学者が発表した論文の数は1996年の6倍近くになり,現在は全世界の論文の約10%を占める。米国への特許出願件数で1989年に国別トップ10に入っていなかった韓国が,現在では第3位だ。ほかにもまだある。これらの数字はすべて,世界の科学研究にかつてない地殻変動が起こっていることを示している。

 欧米への依存度は相対的に低下し,中国など新興国の重みが増している。こうした世界的な活動強化はよいことだ。しかし,手放しで喜んではいけない。科学者の相互協力が可能になり,科学界の結束がかつてないほど強まったとはいえ,かなりのリスクと難題が残っている。その多くは現代世界の緊張から生じている。新たな枠組みに適した制度を整え,「知の探求」を目指すシステムをさらに強化していく必要がある。