アジアの化石に人類の進化を探る

海部陽介(国立科学博物館人類研究部研究主幹)
201305

日経サイエンス 2013年5月号

4ページ
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かつて各地にすんでいた原人はどのように生き延びたのか
その後アフリカに生まれた新人はどう世界に広がったのか
アジアに眠る化石から人類の歴史を掘り起こす

 インドネシア東部のフローレス島のリャン・ブア洞窟からとんでもないものが掘り出されたのは,2003年8月だった。ヒトの骨の一部で,頭はグレープフルーツ大,身長は1mそこそこ。ファンタジー『指輪物語』に登場する小人族になぞらえて「ホビットの出現」とも呼ばれた小さな頭骨の発見は,それまでの人類学の常識を覆した。
 「初めて見たときはなんだかわからなかった。発表されたときのインパクトはすごかった」。チンパンジー並みの小さな脳しか入らないその頭骨の模型を手にして,国立科学博物館の海部陽介は振り返る。海部は数々の謎を秘めた我ら以外の人類のひとり,フローレス原人(ホモ・フロレシエンシス)の人類進化における位置づけを明らかにした。 (文中敬称略)