連続な量子

D. トン(英ケンブリッジ大学)
201306

日経サイエンス 2013年6月号

5ページ
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 「神は整数をお作りになった。残りはすべて人間の仕業だ」。こう言ったのはドイツ人数学者クロネッカーだ。この言葉は,物理の世界ではこんな風に聞こえるだろう。自然は本質的に不連続であって,ひとつひとつ数えられる要素でできている。世界は不連続な情報のビットで表され,物理法則というアルゴリズムで動く巨大なコンピューターのようなものだ──。現在の物理学の主流といえる考え方だが,「本当にそうだろうか?」と,理論物理学者トンは問いかける。むしろ世界は本当は連続的で,それを理論で記述する過程によって不連続性が立ち現れるのではないか。既知の物理法則はコンピューターでシミュレーションできないという特徴があるのだ。