特集:量子の地平線
Qビズム
量子力学の新解釈

H. C. フォン・ベイヤー(ウィリアム・アンド・メアリー大学)
201307

日経サイエンス 2013年7月号

7ページ
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 量子力学は非常に成功した理論ではあるが,奇妙なパラドックスに満ちている。量子ベイズ主義(Qビズム)という最近発展したモデルは,量子論と確率論を結びつけることで,そうしたパラドックスを解消,あるいはより小さな問題にしようとする。Qビズムは量子的パラドックスの核心をなす「波動関数」を新たな概念でとらえ直す。一般に波動関数は粒子がある性質(例えばある特定の場所に存在すること)を示す確率を計算するために用いられるが,波動関数を実在とみなすと様々なパラドックスが生じてくる。Qビズムによれば,波動関数は,対象の量子系がある特定の性質を示すはずだとの個人的な「信念の度合い」を観測者が割り当てるために用いる数学的な道具にすぎない。この考え方では,波動関数は世界に実在するのではなく,個人の主観的な心の状態を反映しているだけだ。

 翻訳は慶応義塾大学大学院/日本学術振興会特別研究員の杉尾一さん,監修は芝浦工業大学助教の木村元氏。