特集:ニュートリノ物理学
ニュートリノで探る物質の起源

M. ヒルシュ(スペインIFIC)
H. ペズ(独ドルトムント工科大学)
W. ポロド(独ヴュルツブルク大学)
201308

日経サイエンス 2013年8月号

10ページ
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 ニュートリノは非常に風変わりな素粒子だ。私たちがよく知る電子やクォークなどに基づいて描き出された素粒子の一般的イメージを片端から壊しているように思える。ニュートリノは飛行中にその種類が変わり,軽くてすばしこく,検出するのはきわめて難しい。ニュートリノは数十年来,実験物理学者にとって厄介な存在だった。現在もニュートリノの基本的性質をめぐる議論が続いている。質量が他の素粒子と比べて極端に小さいのはなぜか,ニュートリノの反粒子はニュートリノ自身なのか,いったい何種類存在するのか。こうした謎が解明されれば,素粒子物理学の統一理論に向けた道が開かれるだろう。