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量子力学は気まぐれだ。全く同じ粒子を用意し,まったく同じ装置で同じように測定しても,結果は様々にばらつく。どの結果が出てくるかを予想することはできない。だが実は「個々の粒子は,未来において自身にどのような測定がなされるかをすでに知っている」。そしてそれに合わせて,自らの量子状態を準備している。私はそれを今知ることはできないが,未来においてある特定の測定をした時にのみ,遡って見いだすことができる──。
測定前の粒子の物理量を問うのは,長らく量子力学では禁じ手とされてきたが,敢えてそこに切り込んだ。弱値とは何を語るのか。物理的にどんな意味があるのか。弱測定の本質は何か。提唱後25年を経て近年注目を集め始め,議論を呼んでいる「弱値」の提唱者アハラノフ教授に,弱値の意味合いと発想の経緯を聞いた。
※監修は分子科学研究所の鹿野豊特任准教授