認知症のタネをまくタンパク質

L. C. ウォーカー(ヤーキス米国立霊長類研究センター)
M. ジャッカー(独テュービンゲン大学)
201401

日経サイエンス 2014年1月号

8ページ
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 タンパク質は組成が同じでも,その形状が異なるものがある。狂牛病などの感染症は,異常な形をしたプリオンタンパク質が,正常なプリオンタンパク質を異常な形に変えることによって起こる。ノーベル賞の対象となった発見だ。これと同様のプロセスが,アルツハイマー病やパーキンソン病,筋萎縮性側索硬化症(ALS)といった主要な神経変性疾患でも起こっているようだ(ただし,これらの疾患がヒトからヒトに感染することはない)。タンパク質がいかにしてねじれ,正常なタンパク質を異常な形に変えるようになるかを理解することは,世界の主要な神経変性疾患の予防法や治療法の開発につながるだろう。